◆ブログ「青空リポート」 相次いで連携協定を締結◆
―実践女子学園と「連携・交流」で
聖籠町教委とは「子ども子育て支援」―
2024年1月31日
<1月末に2つの協定締結式>
新潟青陵学園は1月30日に学校法人・実践女子学園(東京都日野市)と「連携・協力に関する協定」を実践女子学園渋谷キャンパスで締結。次いで31日には聖籠町教育委員会と子ども子育て支援に関する「包括連携協定」の締結式を青陵学園で開催し、調印しました。共に今後の青陵学園の活動に資するためのもので、大いに有効活用し、青陵学園の可能性を切り拓いていきます。
<下田歌子先生のご縁>
実践女子学園との協定締結は、明治―大正期の女子教育の先駆者、下田歌子先生のご縁によるものです。下田先生は明治初期、宮中の女官として出仕し、皇后さまに和歌の才能を認められ、「歌子」の名を賜った方です。華族学校の教授・学監に任じられ、明治26(1893)年には皇女教育のため欧米教育視察を命じられました。約2年間の教育視察では皇女教育にとどまらず一般女学校の教育についても学んだ歌子は帰国後、皇女教育に励むと共に、明治31年には「日本が一流の大国となるためには大衆女子教育こそ必要」との考えの下に帝国婦人協会を設立。その思想を具現化するため明治32(1899)年には後に実践女子学園となる「私立実践女学校」ならびに「女子工芸学校」を創設します。同年、新潟市を訪れ、同協会新潟支会の立ち上げを支援。明治33年に歌子の考え方に共鳴した新潟支会幹部らが新潟市に「裁縫伝習所」(同年「新潟女子工芸学校」に改称)を設立。これが青陵高校の源流となります。
写真(左)=学園の中庭には創設者、下田歌子先生の像が (右)=学園に掲示された年表の中に1900年に新潟市で裁縫伝習所設立の項目が記載されていた
下田歌子はその後、学習院女学部長なども務め、女子教育の普及・振興に努め、昭和11(1936)年に82歳で世を去りますが、その容姿と才能から「明治の紫式部」とも称された人物です。協定書の前文には両学園の関係について「日本における女子教育の先駆者下田歌子と深いつながりのある」との一文が盛り込まれています。
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写真(上)=協定書に調印する山本章正・実践女子学園理事長(右)と私 (下)=サインを終えて協定書を皆さんに披露
<創立125周年を迎える実践女子学園>
2024年5月に創立125周年を迎える実践女子学園は、中学校から大学院までの一貫した女子教育機関でこれまでに17万人の卒業生を送り出してきました。本部は日野市にあり日野キャンパスには大学生活科学部、渋谷区キャンパスに同文学部、人間社会学部、短期大学部、中学校、高校が置かれています。学園規模からすると青陵学園よりはかなり大きく、学生・生徒数も約6千人で今回視察させていただいた渋谷キャンパスはJR渋谷駅から歩いて10分ほどに位置し、施設面も大変に立派に整備されていました。
写真(上)=実践女子大の10階建ての建物。後ろには17階建て校舎が控えている (下)=17階から見た渋谷の風景
今回、協定を結ぶことになった直接のきっかけは、昨年度から実践女子学園さんの下田歌子記念女性総合研究所から本学園の社会連携センターに交流をお申し出いただき、下田歌子ゆかりの品々を本学園で展示したことなどから急速に連携・協力の機運が盛り上がりました。歴史と実績のある実践女子学園さんとしっかり連携が組めることは大変にありがたいと思っています。
写真=下田歌子先生の歌を刺繍で表した書を見る青陵学園メンバー
<山本理事長からありがたいエール>
調印式は渋谷キャンパス17階で開かれました。連携の分野は「教育」・「学術研究」・「産学連携及び社会貢献事業」「キャリア・就職支援」「教職員の能力向上・人材育成」などで、「下田歌子の研究・調査・顕彰」が盛り込まれ、交流では「学生・生徒の交流」「施設設備の相互利用」などが挙げられています。両理事長が協定書に署名し、まず私から今回の協定締結に先立ち能登半島地震の際にいただいたご心配についての感謝を申し上げ、「輝かしい伝統と実績のある実践女子さんとスクラムを組めることは大変に光栄であり、手を携えて少子化の激流を乗り切って、『青陵将来ビジョン』で目指すソーシャルイノベーションのスクエアとなっていきたい」と挨拶いたしました。実践女子の山本章正理事長からは重ねて地震へのお見舞いが伝えられ、実践女子さんと新潟県のつながりが披露されました。お話によると本県からは毎年20人弱の入学者がおり、今年度の新潟出身の学生数は73人とのことで、2014年には新潟県と実践女子大・短期大学部とで「U・Iターン就職促進に関する協定」を締結しているそうです。また、昨年度には胎内市役所などに4人の就職実績があることなどを紹介いただきました。同窓会組織である「実践桜会」には新潟支部があり、本県在住の卒業生同士での交流活動が行われているそうです。
写真=調印式に参加した関係者
<ツートップは実業界出身>
写真=調印を終えて挨拶する山本章正実践女子学園理事長
山本理事長には初めてお目にかかりましたが、長くトヨタにお勤めだった方で、ビジネスマンらしく今後の交流についても明確なプランを持っていらっしゃいました。また、木島葉子常務理事は実践女子大の卒業生でアフラック生命顧問でもあり、「女性とキャリア形成」の授業もやられているので、ぜひ本学園でも授業をやっていただきたいと思う方でした。今後、良い縁を結んでいけるとの感を深くしています。
<出生率2・09の聖籠町>
翌31日、今度は青陵学園で聖籠町の近藤朗教育長らをお迎えして、本学園と聖籠町教育委員会との「包括連携協定」の締結式を行いました。聖籠町は手厚い子ども・子育て支援策で知られ、2006年から幼児教育の無償化を実施してきました。保育・教育環境も整備を進め、共働きを容易にした結果、2022年には県内で唯一の人口増加自治体となりました。全国には子育て支援を売り物にして子育て世代を集め、人口を伸ばしている市町村がありますが、聖籠町さんが素晴らしいのは子育て世代を引き寄せるだけでなく、町の出生率が高いことです。21年の合計特殊出生率は2・09で、直近の10年間を見ても1・6~2前後の水準で推移しているそうです。最近では保育ニーズに応えるため民間と連携してこども園を整備しています。
写真=聖籠町教育委員会との包括連携協定を締結して、関係者みんなで記念撮影です
聖籠町の取り組みに関心を持った本学園職員が聖籠町の近藤教育長と懇意であったこともあり、青陵大の子ども発達学科・青陵短大の幼児教育学科教員を交えて意見交換を行ったことが発端で連携の機運が一気に高まり、今回の協定調印となりました。私も記者時代から聖籠中学校の強化センター方式などの先進的な取り組みに関心があり、新潟市長時代には聖籠町教育長OBを市の教育政策監に迎えたこともあったので、今回の連携には大賛成ですし、大学と短大の学科が協働事業に取り組むことにも大きな期待を寄せています。
<幅広い分野で連携>
今回の連携協定は「教育・研究などの分野において連携を深め、互いが協力することで地域の発展と人材の育成に寄与する」ことを目的とし、連携項目としては①青陵幼稚園と聖籠町の保育・教育・子育て支援拠点との交流(園児交流・教育研修等)②聖籠町の保育・教育施設と幼児特別支援教育の共同研究③子どもの居場所づくり(放課後児童クラブや障がい児向け放課後等デイサービス等)の協働④小中学校及び高校教育についての情報連携―などとなっており、青陵大学・短大の実習先や就職先、ゼミナールなどの照会も含まれています。
写真(上)=協定書にサインし皆さんにお示しする近藤教育長(右)と私 (下)=調印後、まず私から挨拶させていただきました
調印式では私から「子ども子育て支援で全国的にも高いレベルにある聖籠町と連携して学べることは大きな喜びであり、園児から生徒・学生・教職員にとっても得るところが大きい」と申し上げ、近藤教育長からは「保育・育児から特別支援教育・心理などの専門家がそろっている青陵学園と組むことで、聖籠町の子ども子育て支援がさらに充実していけることに感謝したい」などの期待の思いを語っていただきました。
今後も青陵学園はさまざまな地域、団体・企業などと連携することで学園の可能性を大きくしていこうと思っています。年明けの1月、大変に有意義な協定締結となりました。
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