茶の間再開6

*「実家の茶の間・紫竹」が再開*(6)

―8項目の感染防止策を徹底―

2020年6月10日

<みんな表情が柔らかくなった>
「実家の茶の間・紫竹」が再開されて2週目に入り、茶の間はすっかり落ち着きを取り戻してきた。再開4日目の10日(水曜日)午前中も十数人がお出でになり、ゆったりとした時間を過ごせるようになった。この日は、安全のために避難訓練も行われ、衛生面以外でも「安全の土台」が確認された。午後からは20人を超す方が顔を見せた。8日にもやってきた中央区二層の「支え合いのしくみづくり推進員」、滝澤清香さんがこの日も姿を見せた。「この前の老人クラブの話はすごく参考になりました。老人クラブを通して、社会に積極的に関わっていく姿勢は素晴らしいと思いました」と、実家の茶の間運営委員会代表の河田珪子さんに語り掛けた。河田さんは、滝澤さんの話の嬉しそうに耳を傾けながら、「4日目になって、ずいぶん元の雰囲気に戻ったと思いませんか。1週目は、利用されている方もどこか緊張していたましたよね。それが、一日一日とみんなの表情が柔らかくなってきた」と茶の間を見回した。

<河田さんの思いが詰まったペーパー>

「実家の茶の間・紫竹」は、再開の軌道を着実に回り始めた。なぜ、いち早く再開できたのか。河田さんのリーダーシップが表面的には目につくが、衛生面を中心に「安全の土台」をマニュアル化し、当番さんと問題意識を共有していったことも大きな特徴だ。「再開に当たってのマニュアルがあったら、ぜひ教えてほしい」との要望も届いているので、「実家の茶の間・紫竹」を6月1日に再開するに当たって河田さんが作成した一枚のペーパーを紹介しよう。

<思いと経験が生きている8項目>

「これがそのペーパーです」と、当番さんの一人がペーパーを差し出した。誰よりも実家の茶の間を大切に考えているに違いない河田さんの思いと経験が詰まったペーパーだ。全国のさまざまな地域で「みんなの居場所」の再開が検討されているが、まだ踏み切れないところも多い。河田さんがつくったペーパーは8項目から成っている。再開への参考にしてほしい。

「新型コロナウイルス感染防止を踏まえた『実家の茶の間・紫竹』」と書かれたペーパーには8項目の注意ポイントがまとめられていた。

1、アルコール消毒(朝、昼、夕方、その他随時)は、手に触れるところすべてにコロナウイルスがあるという前提で、手すり、ドア、机、椅子の手すり、トイレ便器や手に触れるところ、手洗い場の蛇口、玄関のボールペン、検温器、押して歩く椅子、電話機、筆記用具、ボールペン、コーヒーの持ち手、等々)

机の配置、座る椅子は2メートル離し、向き合わないよう設定。きれいな張り紙で目印や座布団の数に注意。

2、受付は当面はノートではなく、「参加票」に必要事項を記述式で。非接触型体温計を用意したので、検温をお願いします。正しい数値をお伝えし、記述確認もお願いします。

3、飴の用意(マスクを外す機会が増えるためお菓子はなし)、個人一人ひとりに折り紙に数種類載せて、取り回しはしない。花は今までと同じように参加されている方に出番づくりを。その際に手、指の洗浄を。また、アルコール消毒ペーパーも各テーブルに。

4、常時、換気に注意。

5、いつの間にか座る距離が近づいていたり、お話しに夢中になってマスクを外したりしています。その場でさらっと注意する。

6、座る距離が離れてお互いの交流が難しく、その環境に慣れていないため、孤独になりやすい。細やかな声掛けを。また、様子を見ながら距離を取ってラジオ体操を始める。ひとりでもできることを探す。

7、 脱水に注意。頻繁に声掛けを。移動が困難になるとトイレが気になったり、気を遣ったりして飲まなかったり、のどの渇きを感じないこともあります。

8、当番さんは、昼食が出せるようになる日までは2名体制になります。

<新しい実家の茶の間を>

ペーパーは8項目の注意事項に触れた後、「参加者どなたに対しても、常に平等な態度で、さらに頼み上手になって、みんなで一緒に、新型コロナウイルスがあることを前提にした新しい「実家の茶の間・紫竹」づくりをしましょう」と結ばれてあった。実家の茶の間の再開には万全な準備と、入念なルールの徹底が図られていたことが、このペーパーから改めて感じ取れた。

【青空記者の目】

河田珪子さんが作成したペーパーは大変に実務的なものなのに、なぜか強い思いを感じる。素晴らしいのは、河田さんには卓越したリーダーシップがあるのに「カリスマ的存在」になっていないことだ。この日も、河田さんが利用者の方と、つい話し込んで距離が近くなっている時があった。すると、当番さんがすかさず、「はい、近すぎ。もっと離れましょう」と河田さんに注意した。まさにペ-パーの5項目、「その場でさらっと注意する」の通りだった。河田さんは「はい、はい。すみません」と間合いを取り、茶の間は笑いに包まれるのだった。

 

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