ブログ始めました

まちづくり

<ウィズ・コロナ時代を考える> 

新潟市長を退任して1年7カ月近くになります。16年にわたり裃を着た生活を離れ、自由な1市民としての暮らしを満喫していましたが、年明けから顕在化してきた新型コロナウイルスの影響がみるみるうちに広がり、新潟・日本はおろか、世界中が新型コロナウイルスの感染拡大により「新しい暮らし方」が迫られるようになりました。5月までは「自粛・自粛」をひたすら守らざるを得ない状況でしたが、5月25日に国が「緊急事態宣言」の解除を決め、「新たな日常」(安倍晋三首相)をつくり上げていく段階に入りました。さまざまな分野での活動が段階的に再開されています。当分は、新型コロナウイルスと共存ずる「ウィズ・コロナ時代」をどうつくっていくのかー模索が続きます。「ウィズ・コロナ時代を考える時」と規定される段階かもしれません。


<ウィズ・コロナ時代を実践する>
 一方で、考えてばかりでは、暮らしは成り立ちません。新型コロナと共存しながら、どう「安心と活力」を両立させていくのか。暮らしの場での実践が始まっています。例えば会社内で、例えば健康づくりの場で、福祉施設の現場で、教育・子育ての場で、イベントの現場で、居酒屋さんで……。さまざまな工夫をこらしながら、「巣ごもり」「閉じこもり」から抜け出し、安全を確保しながら「新たな日常」をつくり出す取り組みです。それらの動きを見聞きしているうち、30年新聞記者をやってきた
「記者魂」が、頭をもたげてきました。新潟で展開され始めた、さまざまな分野での工夫・実践をブログで紹介することで、「巣ごもり」から脱する道がまだ見つからず、途方に暮れている方たちに新たに歩んでいく道筋へのヒントが提供できないだろうか。記者としての若干の蓄積・ノウハウが少しでも役に立つ時期が来たのかもしれないーそんな気持ちが膨らんで、とりあえずブログを書き始めることにしました。タイトルは「新潟の青空記者 篠田昭のつぶやき」としてみました。

<「地域の茶の間」を当面のテーマに>
 つぶやきの第一弾は「地域の茶の間」を対象にすることにしました。「地域の茶の間」は、ご承知のように、新潟から全国に広がった取り組みです。お年寄りをはじめ、誰もが寛げる「みんなの居場所」は、1991(平成3)年、河田珪子さんにより始まりました。その2年前、認知症になった夫の親たちの介護のため、河田さんは大阪での福祉の仕事を辞めて新潟に戻ってきました。翌90年に仲間たちと立ち上げた有償ボランティアの組織「まごころヘルプ」の事務所が、自然発生的に「居場所」となったのが最初でした。その後、河田さんは1997年から地域の山二ツ自治会館での居場所づくりに取り組みます。そこを取材に来た新潟日報記者がその居場所を「地域の茶の間」と名付けてくれました。「地域の」との言葉が入ったことで、居場所は社会性を持つ場となり、新潟県が「地域の茶の間」を県の長期総合計画に取り入れたことで、茶の間は新潟県内から全国へと広がっていきました。今では新潟市内に500カ所以上、新潟県内には2800カ所を超す「地域の茶の間」があり、みんなの「安心の拠り所」となっている上、介護予防にも役立っています。
 河田さんは、茶の間を全国に広げる役割を果たす一方、常設型で宿泊もできる「うちの実家」を新潟市石山地区の空き家を使って開設。2003(平成15)年から10年間、行政の支援を1銭も受けずに仲間たちと運営した実績を持ちます。「うちの実家」は2013年、惜しまれながらその活動を終えますが、国が地域で医療・介護を受けられるようにする「地域包括ケアシステム」の本格準備に入った2014年、「実家の茶の間・紫竹」が新潟市東区紫竹に開設されます。この施設は、河田さんが代表委員を務める「実家の茶の間運営委員会と新潟市が協働して運営するもので、河田さんたちの提案を受けて市が設置した施設です。みんなの居場所である「地域の茶の間」をさらに普及させると共に「新たな助け合いの拠点」としての役割を担っています。「包括ケア」を構築するには「うちの実家」のような施設が必要だ、との機運が盛り上がったことを受けての動きで、新潟市では地域包括ケアシステム推進のモデルハウス第1号として位置づけました。その後。モデルハウスは市内全8区に9カ所開設され、「日本一安心な政令市」を目指す新潟市のシンボル事業ともなっています。全国から視察・研修の方が絶えなかった「実家の茶の間・紫竹」も、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2月25日から自主的に活動を休止しました。40畳ほどの大広間に、多いときは50人を超える方々が集まる施設は「3密そのもの」だったからです。お年寄りをはじめ多くの利用者は「安心と交流の拠り所」を失ってしまいました。その「実家の茶の間・紫竹」が6月1日から再開されました。「篠田昭のつぶやき」は、大型連休前後から、再開に向けて準備を進めた河田さんたちの動きを何回かに分けて報告します。ほかの福祉・交流施設にとっても参考になる取り組みが展開されていきますので、明日(16日)からの「つぶやき」を是非ご覧いただきたいと思っています。

<ポスト・コロナ時代を構想する>
 このブログでは「地域の茶の間」の代表格である「実家の茶の間・紫竹」の再開に向けた取り組みを紹介した後、さまざまな分野で安全の確保を図りながら社会・経済活動の再開に向けて頑張っている方たちをご紹介していく予定です。そんな取り組みを旅する中で、「ウィズ・コロナ時代」から「ポスト・コロナ時代」を切り開く視点が見えてくるかもしれません。私の畏友である寺島実郎・日本総研会長は、新型コロナで混乱する日本社会に活を入れるかのように、4月から5月にかけて地上波のTOKYO MX1で3回連続の特別番組「寺島実郎の日本再生論」に出演。「時代認識とポスト・コロナへの針路」について語りました。新型コロナウィルスの感染であぶり出された日本社会の脆弱性を指摘しつつ、ポスト・コロナ時代の展望を切り開く刺激的なものでした。地方に住む私たちもスマホの「エムキャス」で見ることでき、ポスト・コロナ時代を「総合的に考えて、実践する」良いきっかけをつくってくれた気がします。青空記者の力量では難しいかもしれませんが、皆さんの力をお借りして、このブログが「ポスト・コロナ時代の日本と地方のあり方」を展望するきっかけづくりになれば、とも思っています。今後もこのブログをご覧いただき、ご助言などをいただければ幸いです。ありがとうございました。

コメント

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