ブログ「青空リポート」・地方私大の役割⑤

教育

◆ブログ「青空リポート」・地方私大の役割⑤◆

―「私大支援」求めるには自助努力が大前提―

―青陵は「地域課題の解決」に本腰―

<「負のスパイラル」回避を>

ここまで地方私大が果たしている役割について述べてきました。国公立大に比べて国や地方自治体の支援が大変に薄い地方私大こそが地方の暮らしを支え、地域を活性化させる大きな役割を担っているのです。地方私大を萎ませることは18歳・22歳人口を大都市圏に流出させることにつながります。地域の人材が流出すれば地方の暮らしを支える担い手不足が加速し、そのことが地方衰退をさらに進めていく「負のスパイラル」を日本で現出させてはなりません。

<冷水を浴びせる私大の不祥事>

ただ、私たち地方私大が声を大にして叫んでも、私立大学の不祥事が一つ起きると、私たちの声はかき消されてしまいます。「私大っていいんですね!」 「私大は凄く儲かっているんですね」との冷やかしや批判の矢が飛んできてしまいます。近年の「日大事件」。そして、今回の「東京女子医大の不祥事件」などもご多分に漏れません。しかし、ここで沈黙してはいられません。1校ずつは小粒で体力も弱い地方私大の大半が国などの支援が薄い中で、歯を食いしばって地方の人材育成に独力で頑張っている―このことを多くの方に知ってもらうため、今後も地方私大は地域とスクラムを組んで声を大きくしていきます。

その時、支援を要請する大前提がそれぞれの地方私大の「自助努力」であることを忘れてはなりません。私たちは今後も「まずは自助努力」を合言葉に頑張っていきますが、これから本格化する「異次元の少子化」は自助努力だけで乗り切れるレベルのものではありません。そのことも多くの方に知っていただくよう努めていきます。

<「地方創生」の推進拠点は地方私大>

また、今後は石破政権の掲げる「地方創生」の取り組みが重要になります。中教審が21日に阿部俊子文科相に提出した答申では、「高等教育機関を核とした地方創生の推進」を新たな視点として盛り込んだことは前回、お示しした通りです。これから地方私大の自助努力の一つの柱は、「地方私大が地方創生の推進拠点である」ことを実証するする取り組みになります。「地域にとって地方の私立大は必要だ」と言っていただけるよう、実績を積み上げていきたい―そんな思いを込めて、新潟青陵学園では新年度、新たな取り組みにチャレンジします。それは「地域課題・社会課題」の解決に役立つ人材を育てながら、実際に地域課題の解決にチャレンジする「青陵ソーシャルイノベーション(SSI)推進機構」を開設することです。

<地域には「課題」が山積>

写真=青陵学園ではキャンパス近くの松林の環境美化に取り組んでいます。この日は多くの大学生・短大生が参加してくれました

写真=地域の松林をきれいにすることで、地域への愛も芽生えます。コロナ禍で人も入らず、荒れていた松林でしたが、今は心地よい風が通うようになってきました

少子・高齢化の進む地域には困りごとや課題が山積しています。本学園は、そんな課題解決に地域の方と共に取り組むスクエア(広場)になることを目指しており、その総合相談窓口がSSI推進機構になります。SSI推進機構の目指す方向などについては、本学園のホームページにある「理事長室からVol16」に掲載してあるので、その稿を以下に再録します。

◆理事長室からVol・16◆

2025年2月5日

―「地域課題をみんなで解決」の拠点に―

―「青陵ソーシャルイノベーション推進機構」を開設―

<学園全体で取り組みます>

新潟青陵学園では地域課題・社会課題の解決を図る「ソーシャルイノベーション」のスクエア(広場)になることを目指して、歩を進めています。それは、さまざまな地域課題のご相談に応ずる総合相談窓口でもあり、具体的なプロジェクトの選定やチーム編成にも当たる学園内の司令塔的部署でもあります。この組織を新年度に開設することは先月の「理事長室から」でもご報告いたしました。名称はこれまで「ソーシャルイノベーションセンター」(仮称)としてきましたが、組織名を「青陵ソーシャルイノベーション(SSI)推進機構」とすることを1月下旬の学園理事会にご報告し、ご承認をいただきました。「推進機構」とはやや大げさな印象もありますが、学園全体で力強く取り組んでいく―との意気込みを込めたつもりです。

今春には学園内に「SSI推進機構」を開設。総合相談窓口を機能させると共に、今年度前半の「重点プロジェクト」を決め、関係地域・団体と一体となって地域課題の解決に向け取り組んでいきます。開設後はさまざまな「困りごと」(地域課題)のご相談をお寄せください。

<「SSI推進機構」開設の目的>

ここでもう一度、SSI推進機構を本学園が開設する目的・狙いについて整理しておきます。

これまで青陵大学・短期大学部は「地域にある高等教育機関」として、主に地域の若者を地域で育て、地域に人材としてお返しすることで地域への役割を果たしてきました。これは高校も同様ですし、幼稚園も子どもたちの健全な育ちを支えてきました。学園全体として、「地域の学びの場・育ちの場」としての役割を果たし、地域に貢献してきたと自負しています。

近年は少子化の流れが激しくなり、本学園でも高校・短大などは定員割れが大きな問題となっています。青陵の存在感を高めるためにも新たな役割を担うことが必要と考え、「青陵が地域にあって良かった! 新潟にあって良かった!」と感じていただく活動を強化することを「青陵プロミス~地域へのお約束」として打ち出しました。その大きな方向が「地域課題・社会課題の解決に役立つソーシャルイノベーション(SI)のスクエアになる」ことです。新年度に「SSI推進機構」を開設するのは、そのための大きな一歩になります。

<青陵の総合力を発揮する契機に>

これまでも本学園ではさまざまな地域課題に地域の方と取り組み、一定の成果を挙げてきました。大学・短大の「社会連携センター」や「ボランティアセンター」はそのけん引役として大きな力を発揮してきたと思います。また、個々の研究者として地域と組んでの取り組みも多彩なものがありましたし、高校の「探究の時間」の活動などでも注目される取り組みは少なくなかったと思います。

今回の「SSI推進機構」の開設は、これまでの取り組みを青陵学園総体でまとめ、よりパワーアップするものです。この機会に社会連携センターもボランティアセンターも学園全体のセンターに改組しますし、高校の探究活動に大学、短大の研究者や学生が加わることで、より大きな可能性を引き出そうとするものです。学園総体として取り組むことで発信力も高まりますし、学園内の絆も強くなります。その力を「さらなる対応力・実践力アップ」につなげていきます。

<地域の「総合相談窓口」に>

地域の方や団体・企業の方には「SSI推進機構」の相談窓口に来ていただけば「ワンストップ」で各種相談に対応できるようにしていきます。当面はボランティアセンターや社会連携センターへの相談も従来通り受け付けますが、学園内で情報を共有し、相談に対し「オール青陵で、最善の対応」を提案できるようにしていきます。このことで「青陵が地域にあって良かった!」と思っていただく事例を増やし、青陵学園の存在感を増していくことも目指していきます。

<生成AIの力も活用>

地域のさまざまな相談ごとに対応していくには相当な情報量が必要です。そこで本学園は新潟日報生成AI研究所とタッグを組むことを考えています。先月27日には同研究所の石山洸所長から本学園でご講演いただきました。その際、「SSI推進機構」の計画についても説明し、相談窓口での生成AI対応について可能性を伺いました。答えは「顧客ニーズに応えるのが私たちの仕事」との力強いお言葉でした。

そのことも参考にして、「SSI推進機構」の目指す方向・役割をできるだけ分かりやすくお示しできるよう、Q&A方式の説明文を書いてみました。まだ、確定していない部分、夢で終わるかもしれない部分があることもご承知いただいた上でお読みいただければ幸いです。できるだけ多くの方からのご相談に対応し、〝無駄足〟に終わることを少なくしていこうと思います。今後とも「青陵ソーシャルイノベーション(SSI)推進機構」にご注目いただくよう、よろしくお願いいたします。

(以下、略します。Q&A方式の説明文は本学園ホームページ「理事長室からVol16」をチェックください)

このシリーズでは、「地方私大が地域に果たしている役割」について説明させていただきました。今後も本学園は「青陵が地域にあって良かった!」「青陵が新潟にあって良かった!」と多くの県民・市民から言っていただける存在を目指して頑張っていきますので、今後もご助言・ご支援をお願いいたします。

 

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