ブログ「青空リポート」伊勢ヶ濱親方来訪

教育

 

◆ブログ「青空リポート」・伊勢ヶ濱親方来訪◆

2025年10月7日

―モンゴルとの縁、大きく育て―

―後輩の留学生を笑顔で激励―

<モンゴル同郷の絆>

10月3日、モンゴル出身の元横綱・照ノ富士関=現・伊勢ヶ濱親方=が本学園にやってきてくれました。その縁をつくってくれたのは先月、私たちが訪問したモンゴルのエルデミーンエフレル学校(以降エフレル学校)の創始者であり理事長のバヤンサン・バーサンジャブさんです。二人は共にエフレル学校のあるモンゴル・オブス県の出身です。「伊勢ヶ濱親方の故郷は、エフレル学校のあるオランゴム市から70キロほど離れたところ。私もその縁で親方とは親しくさせてもらっている。向こうは元横綱ですが、年齢は私が5歳上です」とバヤンサンさんは言います。

エフレル学校からは今、青陵大学看護学部に1人、青陵高等学校に2人留学生が来てくれています。オブス県は先の「青空リポート」でもご紹介したようにウランバートルから1300キロほど西へ行った場所にあり、ロシア国境に近い場所です。そこから新潟の本学園に3人の学生・生徒が留学していることをバヤンサンさんが伊勢ヶ濱親方に話し、「機会をつくって是非一度、3人を激励してほしい」と親方にお願いしたところ、快諾をいただいたのだそうです。青陵訪問が実現したのは二人の親交の深さと、先輩・後輩の絆の強さがあったからと思います。

写真=モンゴルからの留学生と懇談する伊勢ヶ濱親方(右端)とバヤンサンさん(その左)

<「ぜひ相撲を指導したい」>

「大相撲秋場所の終わる10月3日に訪問してもらえることで決まりました」との連絡9月半ばにいただいて、本学園では訪問日程づくりに入りました。「メインは3人への激励」ですが、せっかくの機会なので新潟モンゴル交流協会の吉田至夫会長(モンゴル国名誉領事)と相談し、中原新潟市長への表敬訪問を企画しました。昼食会には、横綱・大の里を育てた県立海洋高校の校長も務められた久保田郁夫・糸魚川市長に声を掛け、歓迎夕食会は本学園と新潟モンゴル交流協会の共催とすることを決めました。吉田会長が代表取締役会長を務める「新潟クボタ」はモンゴルで新潟米販売などを手掛け、モンゴルの方が課長職などを務めておられるので、その方からも夕食会にご参加いただくことにしました。

日程の概要が固まった段階で伊勢ヶ濱親方から「是非に」との注文をいただきました。それは「新潟で相撲部か相撲道場に行き、ぜひとも相撲を指導したい」とのことでした。新潟市内で相撲部のある高校などは少なく、相撲教室なども限られています。親方のいらっしゃる3日(金曜日)は活動日ではなかったのですが、親方の熱意をお伝えすると黒埼相撲教室が「指導いただけるのなら子どもたちを集める」と言ってくれ、相撲指導が実現することになりました。このため歓迎夕食会などは時間を繰り下げることになったのですが、親方の相撲にかける熱意が伝わってくる出来事でした。

<親方の存在感にホームでもどよめき>

3日がやってきました。新潟駅の新幹線ホームにバヤンサンさんらと伊勢ヶ濱親方を出迎えます。親方が姿を現すとホームにはどよめきが広がりました。体格が良く、普段は大きく感じるバヤンサンさんが小柄に見えるほどの存在感です。昼食会では久保田郁夫・糸魚川市長に入っていただいたこともあり、大の里のことを中心に相撲談義で盛り上がりました。

写真=昼食会での記念撮影。左端が久保田糸魚川市長、右隣が吉田会長です

次いで中原新潟市長への表敬です。ここでは親方の出身地が話題になり、「大相撲での力士紹介では『モンゴル・ウランバートル市出身』とアナウンスされていましたよね」と中原市長が質問すると、「ウランバートル以外の地域は日本では知られていないので、みんなウランバートル出身と言っているだけです」と親方は涼しい顔。エフレル学校のあるオブス県が「ウランバートルから1300キロ離れている」「そのエフレル学校から3人の留学生が青陵学園に来ている」との話には中原市長も驚いておられました。

<高校訪問には拍手と歓声>

写真(左)=青陵高校で懇談する伊勢ヶ濱親方と私 (右)素敵な笑顔でみんなを魅了しました

いよいよ青陵高校への訪問です。まず校長室にお入りいただき、副校長らと面談。その後、モンゴルから来ているオノンさんとムンフゾルさんの授業を見学いただきました。教室に伊勢ヶ濱親方が姿を見せると教室は興奮の坩堝(るつぼ)に。親方が姿を見せるところは拍手と歓声に包まれました。

写真=伊勢ヶ濱親方が教室に姿を現すと生徒たちがどよめきます

 

授業が終わるとオノンさんとムンフゾルさんが校長室で親方の激励を受けました。二人は故郷から生まれた〝英雄〟との面談に大興奮の様子。あまり言葉も出ません。親方からは「しっかり勉強しているってね」「これからも大丈夫。頑張れるよ」などと声を掛けてもらいました。親方は高校3年生の時、鳥取城北高校に留学。4人の仲間と相撲部に所属したそうです。その時、ほとんど日本語が話せなかったそうですが、「半年ぐらいで話せるようになった」とのことです。上達の秘訣を尋ねられると、「言い間違えるのではとか、恥ずかしがるのではなく、とにかく話しかけること。『これは何?』とか、『どうしてですか?』とか、どんどん話しかけているうちに、会話になってくるんですよ」と二人に諭すように語り掛けていました。

 

二人は色紙を差し出し、「サインをお願いしていいですか」と頼むと、親方はすごいスピードでサイン。次いで記念撮影に収まってくれ、二人には生涯忘れられない思い出になったと思います。

写真=伊勢ヶ濱親方から色紙にサインしてもらい記念写真を撮るムンフゾルさん(左)とオノンさん

<大学の留学生も激励>

私が同道したのはここまでだったのですが、その後、伊勢ヶ濱親方には青陵大学看護学部の留学生も激励いただき、留学生も大喜びだったそうです。

さらに親方は青陵学園を後にして黒埼相撲教室に向かわれました。ここでは小中学生10人近くを指導してくれたそうです。すり足や四股などの時はジッと見守っていたそうですが、ぶつかり稽古が始まると個別にアドバイス。当たりが今一つの子どもには「ぶつかる時は腹と尻に力を入れていくんだ」、脇の甘い子には「ぶつかる時から脇を締めていくように意識して」などと具体的に指導したそうです。

親身な指導には子どもたちよりお母さんお父さんの方が大喜び。「親方からこんな風に子どもを見てもらい、実際に指導してもらえるなんて」と感激していたそうです。

<歓迎会でも大サービス>

写真(左)=伊勢ヶ濱親方の到着を待って記念撮影 (右)=親方の気持ちのこもったご挨拶

指導を終えた親方は急ぎ歓迎会にも参加してくれました。こちらにもモンゴル出身で新潟クボタにお務めの方が3人顔を出してくれたこともあり、大いにモンゴルの話、相撲の話題で盛り上がりました。モンゴル出身の方を自分のテーブルに呼び、記念写真に収まって激励する気遣いを見せてくれました。

写真(左)=いよいよ乾杯です。音頭を取るのは前のモンゴル国名誉領事でもある中山輝也キタック会長 (右)=モンゴル勢が親方を囲んで記念写真

伊勢ヶ濱部屋は元々弥彦神社との縁が深く、これまでも合宿などを弥彦で行ったこともあります。親方は「うちの部屋には新潟県出身者がいます。今後は弥彦神社との縁を復活したり、新潟県内で指導させてもらったりして、さらに新潟での相撲人気を盛り上げていきたい」と伊勢ヶ濱親方。親方の相撲に対するひたむきさとモンゴルへの深い愛が感じられる今回の訪問でした。伊勢ヶ濱親方、ありがとうございました。

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