いま内野小学校は?4

内野小学校

*いま内野小学校は?(4)*

<8月30日から学校が始まった>

―昨夏と正反対、夏休みは市内最長―

―「デルタ株対応」、授業は最大5時限に

<「夏休み本来の姿に戻しました」>

夏の暑さもすっかり和らいだ8月30日、新潟市の内野小学校にも、マスク越しだが子どもたちの歓声が戻ってきた。昨夏は新潟市内の小学校で一番夏休みが短く、2週間しかなかった内野小だが、今年の夏休みは7月22日から8月29日までと、逆に市内で最も長くなった。

写真=夏休みが終わり、8月30日から授業が始まった内野小学校。訪れた9月3日も教室は落ち着いた様子だった

そのねらいについて中村芳郎校長は、「昨夏は新型コロナウイルスのことがまだよく分からなかったので、できるだけ先行して授業をこなしておこうと思い、夏休みも2週間に短縮しました。給食もできるだけ出すようにしたので、保護者には喜ばれたようです。ただ、夏休みというものは、本来ゆったりと取るべきと思うし、先生方にも自己研鑽や様々な体験をしてもらい、休み明けにはそのことを子どもたちと語り合えるようにしてほしいと思っていました。その意味でこの夏は、本来の姿に戻ることができました」と語る。

もっとも内野小では、夏休み前には修学旅行や運動会などの大きな学校行事を速やかに終えていた。「コロナ禍が秋には収束の方向に向かう」との観測もあったため、主要行事を秋以降に「後ろ倒し」する学校もあったが、内野小では「コロナでは何が起きるか分からない。やれるうちに、やれるものはやっておいた方が良い」との中村校長の判断だった。プール授業も予定通りこなし、特に問題は出なかった。

<気が抜けなかった夏休み>

長い夏休みを終えて登校してきた子どもたちは、「全般的に落ち着いている」(中村校長)という。全国の小中学校では、学校でコロナに感染することを恐れ「自主的に欠席」という子どもたちもかなりの数に上っているようだ。新潟市も例外ではないが、感染拡大地域に比べれば、その数は限定的のようだ。しかし、感染力の強いデルタ株の影響で新潟市にも県の特別警報が出された。夏休み中も学校関係者のもとにはコロナの感染情報が寄せられ、新潟市でも「神経が休まらない」状況が続いた。中村校長の元にも「子どもの家族がPCR検査を受けた」などの情報が2日に1回ぐらいは届いたという。「そんな状況の中では、順調に休み明けのスタートが切れた」と中村校長も、まずは安堵の表情を浮かべる。

写真(左)=内野小では換気のために教室の天井に扇風機が設置され、(右)のように窓も開けられている

<10月8日まで6時間授業はなし>

8月半ばから、「デルタ株では子どもたちが感染しやすい」との情報が示され、学校での感染拡大が危惧される中、首都圏では夏休みを延長するなどの措置を取る地域が出てきた。新潟市教委は8月末、「現時点での一斉休校などは考えていない」との方向性を明確にした。そんな動きを受けて、内野小では夏休み明けに「密を避けた安全な登校の仕方」や「校内の動線のあり方」、「他学年の教室へは行かない」―ことなどの徹底を図ったほか、新たな対策を打ち出した。「夏休み明けの8月30日から10月8日まで、全校で6時間授業をやめ、最大5時間授業とする」ことにしたのだ。そのねらいは何か?中村校長に聞いた。

「6時間授業ですと、授業をそのクラスの担任だけでなく、教頭先生が担任の替わりにクラスの授業をやることがあります。そうすると、万一、そのクラスの児童に感染者が出ると、担任だけでなく教頭先生まで濃厚接触者になりかねません。教頭が濃厚接触者になるリスクはできる限り避けなければならない。そのため、授業は担任が一人でできる5時限までにして、6時間授業は10月8日までやめることにしました。授業時数が足りなくなる分は、コロナでマラソン大会や展覧会などの学校行事がなくなるので、当面はそれで相殺します。これでデルタ株が広がっても学校全体を守れる確率は高くなります」と中村校長は説明した。

<リモート授業にWi-Fiの壁>

確かにクラスにコロナ感染の陽性者が出ると、そのクラスの子どもたちと担任の先生は「濃厚接触者」となることが想定される。そこに教頭先生まで巻き込まれると学校運営は一気に難しくなる。「また、1学年で合同授業をやると、内野小の場合は5クラスあるので学級担任5人が濃厚接触者になることを覚悟する必要があります。どうリスクを下げ、学校を守っていくかを考えていく必要があります」とも中村校長は説明した。

写真=内野小の教室風景。机には1人1台のタブレットが置かれている

中村校長が「学級閉鎖」や「休校」の事態を極力避けたいと思っている理由の一つに、リモート授業の難しさがある。子どもたちには既に一人一台タブレットが配布され、授業では活用されているが、学校と各家庭をつないでリモート授業をやるには「各家庭でのWi-Fi環境のばらつき」が難関になっている。「うちの学校エリアでWi-Fi環境が整っているのは6割程度。残りの4割の子には『学校と家庭を結び、双方向で』ということが成り立たない。タブレットは夏休みにみんな持ち帰っているし、教室の勉強にも使っています。でも、仮に休校になったら、教室の先生と子どもたちの各家庭を結んでzoomなどでやれるかと言えば、それはできない。ですから、コロナ感染には最大限の防止策を考えていく」。そう中村校長は現状を語るのだ。

<「ひまわり」との連携も活かす>

ただ、6時間授業の日がなくなると、子どもたちが家に帰るのが早くなる。「6時間ですと午後4時ごろまで子どもたちがいますが、今は2時半ぐらいに帰っています。放課後学童保育の『ひまわり』がうちは200人ちょっといるので、ひまわりに行くのも早くなります。でも、うちは以前から、ひまわりとの連携を密にしているので理解してもらえる。先生方には、時差勤務が可能になるなどメリットがあります」とも中村校長は語った。内野小ではコロナ禍の中で、「働き方改革」にも取り組んでいた。

<青空記者の目>

商社マンから新潟市の「公募校長」に手を挙げ、採用された中村さんは民間人だった感覚を活かして、これまでも学校運営に校長の裁量権を最大限に活用してきた。新潟市教委が来年度から、地域との関係をより重視する「コミュニティ・スクール」に移行する方針を打ち出してから、中村校長の動きは「学校運営」から「学校経営」の域に達してきたように思える。ただ、今回のコロナウイルス関係で中村校長が積極的に独自策を打ち出していることには、もう一つ理由があるようだ。中村さんは大学時代にウイルス学を専攻し、感染症に今も深い関心を持っている。だから、新潟大学の専門家の見方や県・市のコロナ対策について一歩も二歩も前に出て情報を取っているのだ。

写真=内野小の教務室。ここも換気のために5台の扇風機が設置されていた

 その成果は既に現れている。例えば、内野小ではどの教室にも扇風機が設置されている。「今回のコロナ禍では換気が大事だと思い、予算はできるだけそこに集中しました。中でもうちは大規模校ですので、教務室に50人ほど先生がいます。密になりやすい所なので、扇風機を5台設置し、先生方がもろに向き合わないよう微妙に座る位置を変えています。あとは放課後など、できるだけ自分の教室で仕事をしてもらっています」と中村校長。保健室も「けがの人」、「風邪などの症状の人」、「風邪ではない症状の人」とベッドを分けて感染リスクを下げている。今の状況では感染リスクはゼロにできないだろうが、「やれることは、最大限やる」との姿勢が感じられた。

 

 

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