いま、学校は?4

まちづくり

*ウィズ・コロナ時代 いま学校は?*

<新潟市内野小学校に見る④>

―学校と「ひまわりクラブ」が連携―
―「身近な他人」の関係を改善―

<「学童保育は環境劣悪」が通り相場>

新潟市の内野小学校(西区・児童数約900人)が2週間の短い夏休みに入った今月11日、放課後学童保育「ひまわりクラブ」の様子を見に、内野小を訪ねた。全国がそうなのだが、学童保育の現場は「子ども一人当たりの面積が狭く、環境は劣悪」が通り相場であることが問題となっている。また、文科省と厚労省に所管が分かれているせいか、学校との関係がうまくいっていない所も多い。学校と学童保育を「身近な他人」と揶揄する向きもある。新潟市でも、ひまわりクラブの環境改善と学校との連携強化が長く課題となってきた。西区には約40のひまわりクラブがあるが、学校校舎内に設置されている所は1割ちょっとで、学校敷地内が20弱。残りは学校から離れて設置されているという。

<理科教室をひまわりが活用>

そんな中で内野小のひまわりクラブは、「施設面で見ると、新潟市内では五本指に入る充実度」(学校関係者)という。内野小のひまわりクラブの設置環境は良いようだが、一方の問題は学校との関係にある。夏休みに入る前日の7日、内野小を訪れた時も「ひまわりクラブと学校との関係は良好だろうか」と、心配の気持ちがあった。そこで目にしたのが、理科教室でお弁当を食べる子どもたちの姿だった。聞けば、「学校は給食なしで終わり、お昼を食べているのはひまわりの子どもたちだ」と言う。設備の充実度だけでなく、学校とひまわりの連携も内野小は進んでいるようだ。そこでもう一度、ひまわりの実情を聞きに、内野小を訪ねることにした。

<「学校の敷地内につくって」>

新潟市内でも大規模校の一つの内野小では、ひまわりクラブも第一から第4まで4棟ある。従来から第一、第二が校舎に隣接した敷地内に設置されていたが、学童保育の対象が小学6年生まで拡大されたこともあって、もう2棟増設されることになった。新しいひまわりクラブの設置位置にいろいろな意見が出たと言うが、内野小の中村芳郎校長は「とにかく学校の敷地内につくってほしい」と要望したという。「ひまわりと学校の連携が重要なので、敷地内につくってもらうことが大切と考えました。『敷地内にあれば一体感が生まれる。絶対に良い補完関係がつくれますから』とお願いしました」と中村校長。その甲斐があったのか、第三、第四の2棟は2年前、既存の2棟に隣接する形で学校敷地内に整備された。240人が利用定員だが、学童保育の登録数はそれより多目の300人となっている。この日はお盆前とあって、ひまわりに来ていた子どもは100人ちょっと。いつもは「密にならないように工夫している」と言うが、この日はかなり余裕がある状況で、子どもたちが4つの棟で元気に遊びまわっていた。

<「子どもたちを『密』にしない」>

ひまわりクラブの整備基準は、国によって決められている。従来、子ども一人当たり1・65平方メートルだったが、そこに新型コロナ禍が襲った。今年2月27日(木曜日)、国の感染症対策本部は全国の小中高校に「3月2日から春休みまでの臨時休校」を要請。全国の学校は大混乱に陥った。新潟市では2月29日が土曜日のため、2月28日(金)に最低限の準備をして、翌日から4月5日まで、学校は休みに入った。多くの場面で混乱が生じたが、ひまわりクラブの運営もその一つだ。休校になれば、ひまわりが子どもたちを預かる時間が長くなり、多くの地域では教室よりも狭隘な環境に子どもたちが長時間いることを強いられた。新潟市は、ひまわりクラブの環境を改善しようと、市の独自目標として子ども一人当たり3・3平方メートルを目指し整備を進めている。

中村校長は「ウィズ・コロナ時代は、学校でも子どもたちを密にしないことが一番。それは、ひまわりも同様です。であるなら、学校をどんどん、ひまわりに使ってもらう方が良い」と考え、ひまわりとの連携をさらに深めていった。ひまわりを利用する子どもたちが、お昼を学校の教室で食べるようにしたのも、その一つだ。二度目の休校が終わった6月からは学校とひまわりの連携を更に深めた。7月下旬から8月上旬までのデータを見ると、ひまわり利用者の四分の一前後が学校教室を利用している。もっとも、学校側もひまわりのスペースを活用させてもらうこともある。今月4日、ようやく実現した1年生の保護者の授業参観では、逆にひまわりのスペースを学校が借りて実施した。学校とひまわりの連携はコロナ禍で逆に深まっている。

<「ようやく落ち着いてきた」>

写真=内野小学校のひまわりクラブ。お盆前の11日も子どもたちた活発に活動していた

内野小のひまわりクラブの責任者、山田優美子さんにお話しを伺った。山田さんは2014年から内野小ひまわりクラブで勤務している。当初は新潟市社会福祉協議会が指定管理者だったが、昨年からシダックスに管理者が替わったが、山田さんはそのまま責任者を務めている。「今日は、お盆前で子どもたちが少ないですね。ひまわりは第一から第四まで、地域ごとで分けているので、学校のクラスとはまた別の人間関係がつくれます」と言う山田さん。やはり、コロナの影響は大きかったそうだ。「家にいる時間が長いせいか、子どもたちが落ち着かなかった。子どもたちが『野生化した』というか、なかなか規律が守れない。『顔をくっつけたりしないんだよ。学校でできることは、ここでもできるよね』と言って聞かせてきました。夏休み前に、ようやく落ち着いてきましたかね」と語る。この日はみんながマスクをきちんとつけて、それなりの「秩序」が回復したようだ。

<「お互いさま、の精神ですね」>

中村校長の「学校とひまわりの連携強化」は、ひまわりにとっても「大変にありがたい」と、山田さんは言う。「いま、ひまわりの子の半分は、学校でお昼を食べています。理科室1、2や図書室を使わせてもらっている。食事の時が『密』にならないのは、安全面でも助かる。私たちもできるだけ学校に協力して、1年生の授業参観の時はひまわりの第一を3組、第二を5組に使ってもらいました。『お互いさま』の精神ですね。市内の学校で、ここまで融通し合っている所はないと思います」と、山田さん。中村校長は、「教室にいても、ひまわりにいても、内野小の子どもであることは変わりありません。ひまわりと連絡を取り合っているせいか、教室とひまわりで、行動というか、やることが変わる子も少ないと思っています。教室でもひまわりでも、みんなマスクをつけていますしね」と中村校長は応じていた。

<コロナ禍で新潟市も前進>

コロナ禍の時代、新潟市も「学校とひまわりの連携」は加速しようと思っている。今春の突然の休校の際には「ひまわりだけでは預かり切れないから、学校も協力を」との呼び掛けを市こども未来部が行った。ただ、中村校長は「内野小は以前から、施設面では融通し合ってきたが、ひまわりの業務を先生方が手伝うことはしない」との姿勢も明確にした。「いま、学校の先生がやることは山のようにある。責任を明確にするためにも、業務面で学校は学校、ひまわりはひまわりが良い。この原則はいい加減にはできない。校長の学校管理の責任も学校業務に限定すれば、もっと学校という施設を地域の人たちが活用できるようになる」と中村校長は語るのだった。

<青空記者の目>

新潟市長をやっていた頃、いわゆる「学校の常識」には結構ちょっかいを出させてもらっていた。同じ子どもが通っていながら、ひまわりクラブに目を向けない校長先生がいらっしゃることも、理解できないことの一つだった。それが今回、内野小学校の現状を見聞きさせてもらって、「ここまで連携してくれるようになったのか」と大いに驚き、嬉しかった。校長の管理責任を学校業務時に限定させれば、学校という施設はより多様な利用が可能になる―そんなことも考えさせられた内野小訪問だった。

もう一つ、学校休校の影響は大きいことを指摘しておきたい。日本小児科学会の委員会が5月に医学的見地からまとめた報告書がある。そこでは国が2月末に行った全国一律的休校要請の結果について、「子どもの感染例は少なく、重症化はまれ。学校などで子どもが感染源となったクラスター(感染者集団)の報告も国内ではほとんどない」と指摘。「学校などの閉鎖は流行阻止効果に乏しい」と分析する。さらに「学校の閉鎖は教育の機会を奪い、虐待のリスクが増す危惧があるため、子どもの心身を脅かしている」、と弊害の大きさを警告した。国は、一律的な休校措置の影響がいかに大きいかを自覚してほしい。

 

 

 

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