いま学校は?5

まちづくり

*ウィズ・コロナ時代 いま学校は?*

<新潟市内野小学校に見る⑤>

―学校と地域の特性伸ばす―

―やさしさあふれる「さくら学校」に―

<「誇りをもって」>

今年4月30日発行の内野小学校だより「旭が丘」に、中村芳郎校長は「誇りをもって」のタイトルで巻頭言を書いた。その中で中村校長は、新型コロナウイルスの感染拡大に触れた後、「当校はやさしさあふれる『さくら学校』を引き続き目指す」と今後の方向性を明示し、こう続けた。「さくらの花言葉には、心の豊かさや美しさ、やさしさなどがあります。『さくら学校』では具体的にはまず、いじめ・不登校など生活指導上の諸課題の未然防止と解消に全職員がワンチームとなって真摯に取り組んでまいります」

内野小は、広い学校の敷地に地域の先人が桜の木を数多く植えてきた歴史を持つ。春にはその桜を地域の大勢の方が花見をして楽しむ「さくら学校」となった。そして今、内野小の児童数は西区19小学校の中で最大となり、その中でも大きな特徴として、唯一の通級指導教室を持つ特別支援教育の推進校であることを中村校長は重視し、「やさしさあふれる『さくら学校』」と、誇りを持って表現しているのだ。

<コロナ禍の下、運動会をどうする>

「コロナによる、いじめが現に新潟県でも起きている。人権侵害である、いじめはあってはならないこと」と中村校長は言い、「ウィズ・コロナ時代」に教育の原点を見詰め直している。同時に、いま課題となっているICT教育についても、「不登校の子どもについても、たとえ学校に来られなくても学習が同じようにできる。可能性が広がる」と変化を前向きに捉える。コロナによりさまざまな制約を受ける学校行事でも、「逆にこれまでできなかったことに、チャレンジする機会も生まれる」と考えてもいる。例えば、運動会だ。内野小では、春の運動会を9月に延期した。「さまざまな学校行事の運営は、市教委から各学校に任されている。うちでは運動会の日程を短くし、半日にします。騎馬戦はもちろんやりませんし、競技も絞っていく。無観客でやるところも多いでしょう。ただ、地域との関係が深い内野では、小学校の運動会は昔から『まちの運動会』でした。それを地域の方を呼ばなくて良いのか…。地域の方への対応は、PTAにやってもらおうと思っています」と中村校長。中村校長がウィズ・コロナの運動会を契機にさらに学校とPTA、地域の関係を深めることに意欲を見せているのも、内野小では学校とPTAの関係が従来からしっかりしているからだ。

<「うちのPTAは日本一」>

内野小では、コロナ禍が拡大している時期にもかかわらず、あるビッグプロジェクトが進行中だった。「内野小学校創立150周年の節目となる令和4年度までに、さくら学校に新しく100本の桜を植えよう」というものだ。中心となったのが同校PTAだった。PTAが地域と協力して「うちの地域特別チーム」を結成、「学校づくり桜植樹プロジェクト」を推進することにしたのだ。内野小を訪れた11日、桜の苗木を植える整備作業の現場を見るチャンスがあった。新たに桜を植える場所は学校の敷地奥手にある、通称「裏山」だった。昨年度までPTA会長だった徳山啓輝さん(51)が地域特別チームの代表に就任。6月には植樹場所の確認や桜の苗木の選定を終え、今月から土日や祝日に伐採や整地の作業が始まっていた。11日は徳山代表が、作業の段取りのため、内野小に来ていた。この大プロジェクトについては、21日に改めてお話を聞くことにお願いした。その前に、中村校長が「うちのPTAは日本一」と自慢する内野小PTAが、これまで取り組んできたことをいくつか紹介しておこう。

写真=内野小学校に新たに桜を植えるプロジェクトの現場。同小学校の裏山で作業をする徳山啓輝代表(右)と中村芳郎校長

<PTAが学校の働き方改革>

内野小学校PTAの取り組みが今年2月8日、「新潟市小中学校PTA連合会(市P連)交流会」で発表された。テーマは「学校における働き方改革」だった。内野小では昨年度、PTAの中に「学校における働き方改革特別委員会」を設置した。「学校の多忙化解消に向けた取組の視点とその効果」を切り口とし、「学校・保護者・地域が連携し『つながる取組』で、子どもたちのための『学校における働き方改革』を進める」ことを狙ったものだった。具体的には以下の4つのテーマで「働き方への視点と効果」について取り組んだ。

①    の視点=通学路の安全確保は、学校が主体で、学校の要望に沿って保護者と地域が学校と一体となって行う→効果=教職員が校外で安全指導を行う時間を減らす

②    の視点=学校行事の支援を地域で行う→効果=例えば、運動会の熱中症対策を地域で支援することにより、教職員の行事準備行事の時間を減らす

③    の視点=校地内環境整備作業を保護者で行う→効果=用務員の業務を減らすことにより、用務員が教員を手伝うことができる時間を創出する

④    の視点=市P連「教職員の多忙化解消」に向けたPTAの1校1取組→効果=PTA関連の業務と時間を減らすことにより、教育活動の時間を創出する

「学校における働き方改革特別委員会」は、PTAと中村校長の話し合いの中で実現した。内野小PTAは以前から学校敷地内や周辺の環境整備などに取り組んでおり、昨年度は「校地内環境整備ウィーク」を3回実施。台風19号で影響を受けた10月には緊急整備作業も行っている。市P連交流会での報告は、「取組が強制とならないように『学校への理解の視点』を忘れない」と締めくくっていた。

<青空記者の目>

以前、地元紙で記者をやっていた頃、「学校いきいき~地域との絆」とのタイトルで月2回のシリーズを担当したことがあった。この取材から、新潟県内には地域と学校が連携して活動することで、強い絆で結ばれている事例が多いことが分かった。活動の切り口は多様で、歴史や文化、地形などの特性を活かして、地域づくり・学校づくりに取り組んでいた。その結果、多くは地域の誇り醸成につながっていた。その中で「学校に森をつくる」運動が県内各地で展開され、大きな成果を挙げていた。「学校の森づくり」はその後、韓国教育界が評価して取り入れ、韓国全土でダイナミックな展開を見た。いま、内野小学校ではPTAと地域、学校が連携して「学校づくり桜植樹プロジェクト」が始動しているという。どんな展開を見せるのだろうか?21日の徳山代表らとの意見交換が楽しみだ。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました