「実家の茶の間」 新たな出発7

地域の茶の間

*「実家の茶の間」 新たな出発(7)*

<コロナ前の姿へ 「昼食再開」②>

―「お昼の食材、また増えたね!」―

―日々の進化へ みんなの力を結集―

<「今日の食材」リストも変わった>

新潟市の「実家の茶の間・紫竹」が7月から昼食を再開して3回目の運営日となる7月12日(月曜日)午後、実家の茶の間はすっかり落ち着きを取り戻していた。

「昼食再開の最初の日は、みんな緊張していたけど、もう元の茶の間に戻りました。あっという間ですね」「今日のお昼が一番おいしかったわ。食材も増えてきて、栄養的にも良くなっている」―運営委員会代表の河田珪子さんをはじめ、お当番さんたちも寛いだ様子で、「お茶飲み話」をしていた。いつも壁に貼られている「今日の食材」を見せてもらうと、確かに食材が毎回充実してきている。食材リストは前回と書き方も変わっていた。「みんなで話し合って、どんな食材があるのかを分類した方が良いってことになったの」「それで今日はこんな形で分類することにしたんですよ」とお当番さんが説明してくれた。

写真(左)=昼食が再開された7月5日の「今日の食材」 (右)=こちらは12日の「今日の食材」。食材の中身もリストの書き方も進化している

なるほど、①タンパク質②根菜③緑黄色野菜④きのこ―との分類項目が書き込まれ、色で分別されていた。そこに別のお当番さんが口を挟む。「でも、この書き方はおかしいですよね。分類表記の4項目の後に、とうふ、厚揚げと、また食材が書かれているわ」との言葉に、もう一度食材リストを見ると、確かにその通りだ。食材リストの書き方で盛り上がっていると、河田さんがこう軽口をたたいた。「いいんですよ、ここは。日々進化するんだから。昼食再開の日には、ただ食材が書かれているだけだったでしょう。それで、みんなで話し合って『もっとみんなに分かりやすいように、分類表記にしよう』って決めたばかりなんだから。次はもっと進化して、さらに分かりやすくなりますよ」との話に、「そうですね」と一同納得の笑いが広がった。

<「動いているから、新しいことが見える」>

「日々進化する」―これが実家の茶の間の特徴であるようだ。ここでは運営日の度にミーティングを開き、お当番さんたちが活発に意見を出し合う。そしてもう一つ、河田さんたちが重視していることがある。「これで良い」と思わないことだ。今回の昼食再開でも、「お昼が出せない―そこにとどまっていて良いのですか」との自問自答を、お当番さんそれぞれが繰り返していた。だから、「7月に昼食再開」との方向性が決まると、みんなが一気に動き出せる。これまで午後3時で閉めていた茶の間を、コロナ前の午後4時まで1時間延長することも、すぐに決まった。「ここは止まっているのではなく、いつも動こうとしているでしょう。動いているから、新しいことが見えてくるんじゃないでしょうか。常に前に進んでいるんだと思う」と河田さんは自分に言うように語った。

<小4の「4人組」が登場>

この時は分かったような分からないような気分だったが、午後3時半を過ぎて、「時間延長」の意味がすごく分かりやすい出来事が起きた。茶の間の「時間延長」を誰から聞いたのか、近くの江南小学校の4年生4人組が遊びにきたのだ。入念に消毒した後、慣れた感じで座敷の隅にある子ども用のおもちゃを置いたコーナーに入っていく。

写真(左)=実家の茶の間に、久しぶりに子どもたちが遊びにきた (右)=「おもちゃコーナー」で遊ぶ4人。一瞬「密」になっていた

「この子たちは小学校2年の時に、学校でここにきていて、みんなお馴染みさんなんですよ」とお当番さんが教えてくれた。午後4時まで茶の間が開いていると、学校を終えてから遊びに来られるらしい。子どもたちの歓声で、急に茶の間が賑やかになった。「やっぱり、子どもたちがくると、いいねえ」とお年寄りの表情も明るくなる。子どもたちがひとしきり遊ぶと、すぐに茶の間を閉める4時になった。「またね!」と、お年寄りたちにあいさつをして、子どもたちが帰っていく。

写真=午後4時を過ぎ、実家の茶の間から帰る子どもたち

こんな風景に出会えるのも、「少しでも、コロナ前に戻ろう」と実家の茶の間のみんなが「前に出た」からだろう。

<青空記者の目>

 子どもたちが遊びに来て、実家の茶の間が午後4時まで運営時間を延長した効果が実に分かりやすく伝わった。しかし、本当はそれだけでなく、時間延長の効果は発揮されていたように思う。午後3時になると、これまでの習慣か、利用者がぽつぽつと帰り出し、いつになく利用者の数が少なくなった。すると茶の間の空気が変わり出した。お当番さんも寛いで、ゆったりとおしゃべりを始めた。「ほら、こんな雰囲気、今までなかったでしょう。ホントの実家みたいでしょう。こういう時間も必要なんですよね」と河田さん。この状況は、前回の運営日、7日(水曜日)の午後3時以降にも見られた光景だった.

写真=午後3時半近くの実家の茶の間の様子。お当番さんも、いつになく寛いでいる(7月7日)

 こんなゆったりとした時間の中でお当番さんが参加者とゆっくり話をし、その中から、また「実家の茶の間・紫竹」の新しい課題や改善点が見つかるらしい。「日々前進を続ける」実家の茶の間から、また新しい「地域の助け合い」の景色が見えてくるのだろう。

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