にいがた「食と農」の明日(3)

まちづくり

*にいがた 「食と農」の明日3*

<ウィズコロナ時代 居酒屋の今③>

―「来年が勝負、何とか生き残る」―

―「ワクチン接種前倒し」国は全力を―

<「五郎」グループの和田亮さん>

写真=飲食店の今について語る五郎グループの和田亮さんの3つの表情

「五郎」古町店や万代店、肉料理専門ワインバル「NIQ」など新潟市内で数多くの飲食店を開き、テイクアウト&デリバリー店も経営する「五郎グループ」の和田亮さん。和田さんは、コロナウイルスの感染が拡大した今年3月からの10カ月間をこう振り返る。「3月は一気に売り上げが半減し、4月は前年比7~8割減、5月が最悪で前年の1割ぐらいしか売り上げがなかった。6月に少し戻って夏を迎え、新潟がいち早く『食べにいGOて食事券』をやってくれたお陰で、10月にはほとんど前年並みに戻りました。これはワクチンというか、特効薬のようにありがたかったですね。11月からは『Go Toトラベル』東京拡大のせいか第3波がきて、この年末でしょ。私たちにとっては『Go To』を東京に拡大するよりも、域内で経済を回してくれた方が良かったのかな」と和田さん。

例年は12月が一番の稼ぎ時となる。逆に年明けの1~2月は赤字となり、歓送迎会のある3、4月で、また立て直していくのが新潟の居酒屋のリズムだという。「しかし、来年の春、歓送迎会は期待できないでしょう。取り返せませんよね。今年度は、いろいろな補助金もあって、多くの店が何とかなると思いますが、来年の春以降は厳しくなる。一致団結し、何とかして来年生き残る。勝負の年ですね」と和田さんは見る。

<コロナ予防対応へ、春先から店を改装>

和田さんは、アルバイト時代も含めて10年間働いた「五郎」古町店を事業継承し、今から18年前、30歳の時に独立して飲食店経営者になった。その間、料理の勉強に打ち込み、飲食店の魅力に取りつかれた。しかし、一方で飲食店には長時間労働、少ない休み、なかなか上がらない給与などの問題があり、多くの仲間たちが道半ばで辞めていった。「居酒屋の仕事は楽しいが、環境が悪すぎる。自分が経営して、もっとスタッフたちに夢を見させられるようにしたい」と飲食店経営の道に進んだ和田さんにとっても、コロナ感染はとんでもない難敵だ。

それでも和田さんは果敢に闘ってきた。飲食チェーン経営者でも、居酒屋の現場を熟知している人はそう多くない。和田さんはこれまでに身に着けた現場感覚と、経理・総務の知識を総動員してコロナに立ち向かった。「うちぐらいの店で、月の家賃で4、5百万、従業員の給与で1千万円程度、なんやかや合わせると月に3千万円くらいの固定費がかかります。営業自粛で一律に100万~200万円いただいても、どうしようもありません」と和田さん。

<助成金はありがたい援軍>

いくつもの店を経営する和田さんにとって、ありがたい援軍になったのは国の雇用調整助成金や、新潟市の「新しい生活様式に対応した店づくり応援事業」だった。和田さんは雇用調整助成金を活用して各店の従業員をコントロールしながら、コロナに対応して安全度の高い店をつくる改装に取り組んだ。国や市などの補助金の制度設計がまだ整わない春先から改装に着手、改装の多くが新潟市の助成制度の対象になった。

写真=和田亮さんのプロフィールと会社の紹介。右は和田さんが関わるお店の紹介

今回、新潟市は忘新年会の激減に対応するため団体会食の補助を打ち出したが、コロナ感染の拡大により5日間で休止した。このことを批判する声もあるが、和田さんは「コロナの感染によって、対応は一日ごとに変わらざるを得ない。私たちは『新潟市が飲食のことをそこまで考えてくれている』と受け止め、勇気づけられています。幸い、弁当補助(1個3千円以上を10個以上)は継続されるとのことなので、これまでのテイクアウト弁当に加えて、少し豪華な弁当をメニューに加えて営業もしていきたい」と前向きに捉えている。と言うのも、テイクアウトは宅配ピザなどを含めて大繁盛の時もあったが、利益が薄く厳しいことも実感しているからだ。「居酒屋はやっぱり熱々の品を多品種提供できるのが売りですから…。でも、会食のやりにくいこの年末には、ある大企業の支店から豪華弁当の注文がありました。市の弁当補助があれば、食べる側も私たちもありがたいことになる」と和田さんは新たな武器の一つに豪華版弁当を加えるつもりだ。

<「目途がつけば頑張れる」>

懸命に頑張る和田さんたちが熱望していることがある。「一番はコロナが収まり、景気が戻ることですけど、それは当分無理。だとしたら、やっぱりワクチンじゃないですか。日本でも一日でも早くワクチンを多くの国民に接種できるよう、国は全力を挙げてほしい。こちらも、『後、半年の我慢なんだ』と大まかな目途がつけば、『よし、そこまで頑張ろう』という気持ちになれますよね」と和田さんは語るのだった。

<青空記者の目>

コロナ暴風は師走の飲食店を直撃している。その中で和田さんが気になるのは、助成制度を十分に活用できない飲食店が多いことだ。「今もさまざまな助成制度があるけれど、経理などがしっかりしていない小規模の店は『申請が面倒』と活用していないところが結構ある。社会保険労務士(社労士)を使いたくても、手数料が高くて二の足を踏む。助成は3カ月つないで申請できるので、店にとっては大変にありがたい」と和田さんは言う。そんな状況の中、和田さんは一つの提案をしてくれた。「例えば、新潟市が商工会議所などと組んで、社労士を活用できるような日を設定してくれると助かるお店が一杯あるのでは」と和田さんは言う。全国の自治体でも事例があるやり方だ。

飲食店の生き残りは「来年が勝負になる」と和田さんは見ている。今回紹介したお二人は、新潟の居酒屋・飲食店の中でも「カリスマクラス」の人材だ。飲食の世界は、さらに規模が小さく、体力も弱い店が圧倒的に多いが、どの店も最前線で新潟の飲食の楽しさ、素晴らしさを提供してくれている。新潟市民の財産である「レベルの高い居酒屋」には、何としてもコロナ禍を生き抜いてほしい。飲食店にとって、身になるサポート策が待たれている。そのサポートを担うのは、利用客であり、経済界・行政を含めた地域の総合力なのだろう。

 

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